デフレ経済学 2019 6 2
書名 なぜデフレを放置してはいけないか
著者 岩田 規久男 PHP新書
本来、「デフレ経済学」というものはありません。
なぜならば、資本主義は、インフレを前提としているからです。
にもかかわらず、日本においては、
「失われた20年」で、政府や中央銀行が、
「デフレ政策」を推進したと思える。
それが、著者に「デフレ経済学」を確立させる動機になったのかもしれません。
さて、私は、現代においては、
インフレになりにくい、
あるいは、デフレが起こりやすいと考えています。
インターネットの高度な発達によって、
完全情報による完全競争が実現したと思えるからです。
今、一眼レフカメラは、ミラーレスが人気のようですが、
たとえば、あなたがデジタルカメラを安く買いたいとします。
昔だったら、長年の勘と経験で、
A市のA店が安いと思い込み、A店で買ったら、
実は、B市のB店では、バーゲンセールをやっていて、
B店のほうが断然安かったので、悔しい思いをした。
これは、情報が不完全だったので、
あなたは、デジタルカメラを安く買うことができなかったということになります。
今は、インターネットの発達により、
検索をすれば、日本全国で、どこか一番安いか判明します。
もうひとつ考えられるのは、
全世界において、高度に発達した流通網が、
インフレを起こりにくくしていると思います。
さて、話はそれますが、
日本のバブル経済時代は、
政策金利が2.5%程度でも「超低金利」と言われたものでした。
昔のことなので、数字は正確に覚えていませんが、
日本銀行が政策金利を2.5%まで引き下げたから、
バブルは発生したのだと言われたものでした。
あの時代は、「超低金利」と感じる経済事情でしたが、
今の時代は、2.5%となると、「高金利政策」と感じる時代になりました。
なぜならば、インターネットの発達によって、
完全情報による完全競争が実現しました。
さらに、全世界において流通網が高度に発達して、
インフレは起こりにくく、デフレの要因になっていますので、
「2.5%は、高金利政策」と言っても過言ではないでしょう。
(参考)
60歳以上の人は、よく知っているかと思いますが、
昔は、定期預金の金利が「5%」どころか、
「7%」の時代もあったと聞いたことがあります。
もし、そういう時代に、政策金利を「2.5%」まで引き下げるとなると、
「超低金利」と言われることになるでしょう。
高齢者の方は、昔を懐かしく思うでしょうが、
たとえ、定期預金の金利が「7%」もあっても、
インフレ率が「6%」もあれば、
「実質金利」は「1%」となってしまい、高金利とは言えないのです。
金融商品を考える時に、「名目」と「実質」は分けて考えるべきです。